OBSERVER は、路上に点在するチューインガムを主な被写体とする「都市の天体写真」シリーズです。留学先であったイングランド南東部Kent 州にある宗教都市Canterbury の街の取材をもとに制作を行いました。ヨーロッパやアメリカなどの海外の都市部では日本では決して見ることのできないほどのチューインガムが路上に点在しています。人々の生活パターンに沿って日々加えられ、あるいは取り除かれる白く真新しいチューインガムは、まるで生まれては消えていく星々のようでもあります。また人間の体内から吐き出されたそれらは、宇宙の共通言語と呼ばれるDNA の集積に他ならず、人と宇宙とのつながりを強く印象づけるものでした。さらに、都市では見ることのできない満天の星空を自らの足元に臨むことは、ミクロとマクロな視点が交差する新たな眺めを人々に与えるとともに、光害をはじめとした都市が抱える諸問題を浮き彫りにします。